有明町楠甫蛤地区にある仏崎観音では、旧暦3月18日にあたる5月7日、観音祭りが行われました。
海を見下ろす山の岩肌に新旧43体の観音様が祀られている仏崎観音には、源平合戦にまつわる言い伝えがあります。
『文治4年(1188年)、平家の落人景清は、源氏方の畠山重忠に追われ、仏崎に逃げ込んだ。前は海、後ろは断崖絶壁の岩山。時は夕闇、進退窮まっているところに重忠が追い付き刀を抜いて切りつけたところ、確かに手応えはあったが、景清はその崖を這い登っていずことなく逃げ去った。
逃げられるような浅い傷ではないと思った重忠が灯りで照らしてみると、そこには重忠が切りつけた刀傷を受けた観音様があり、あたりには血痕が点々と残っていた。日頃、観音様を信仰していた景清の身代わりになったといわれている。』(有明町教育委員会資料より)
このような言い伝えがある仏崎観音は、現在も子宝や病気平癒、商売繁盛などを祈る人が遠方からもお参りに来るなど厚い信仰を集めており、地域の皆さんによって大切に守られています。
5月7日のお祭りを前に、5日には蛤地区の皆さんが周囲の草払いやお堂の掃除などの準備を行いました。
お祭りの日はあいにくの雨でしたが、早朝から地区の皆さんが集まり、線香をあげたりお供え物したりしました。観音様の日頃のご利益の御礼にお参りに来た人が小餅やお菓子を持ち寄り、皆で分かち合う「餅投げ」も行われ、大変にぎわいました。
楠甫地区は「神々の里」と言われるほど7つの地区それぞれに今も地域の皆さんが大切に守る神社や祠が多くあり、1年を通してたくさんのお祭りがあります。蛤地区区長の岡部さんは「お祭りの準備は大変だが、皆さん楽しみにしてくれているので力を合わせて守っていきたい」と話していました。