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病院事業部からのお知らせ

事業管理者挨拶

皆様 こんにちは
 天草市立病院(牛深市民病院、栖本病院、新和病院、河浦病院)ならびに天草市立御所浦診療所・御所浦北診療所の近況につき全般的にご報告申し上げます。

1)新興感染症対応について
 2019年末に始まりました新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の流行は、その第8波流行が収束した2023年5月に5類移行が宣言され、現在では一般的な感染症にみなされています。しかしながら、新型コロナは終息したわけではなくその後も依然として流行を続けており、執筆時点において既に第12波の流行に入っています。本疾患が国によって一般診療化され補助金も実質上なくなりましたが、まだその流行があり患者さんがいらっしゃる以上、公立病院としては対応する必要があると考えられ、その診療体制は継続されているのが現状です。当市立病院はいわゆる中小病院ながら、執筆時点までに928名の患者の入院加療を行いました。外来検査・診療は多数にのぼります。人員も設備整備も不足する中で、よく頑張ってくれていると感謝しております。  国は次の感染症危機に向けた対策として改定感染症法を制定し2024年4月に施行されていますが、当天草市立4病院も公立病院の義務としてその任務に就くべく、熊本県と医療措置協定を締結し準備したところです。
 今後とも感染症対応に従事してまいります。

2)経営状況について
 天草市病院事業部の2023年度経常収支は赤字になりました。2024年度決算見込も同様です。一番大きな要因は患者数の減少で、特に入院患者数が減少しました。新型コロナに対応した病院では全国同様な傾向で、2023年度入院患者数は新型コロナ以前の2019年度に比し9%の減少が見られました(「令和5(2023)年医療施設(静態・動態)調査・病院報告」)が、当市立病院では31%の減少となりました。病院規模、すなわち中小病院ゆえの差異であろうと考えられます。この患者数減少の要因は、新型コロナの優先的な診療体制のもと一般診療を抑制したことがあり、また同時に患者さんの自主的な診療控えもあったと考えられます。この患者数が減少した状態で補助金の実質上打ち切りがあり赤字に至ったと考えています。今後は新型コロナ以前の状態に復すべく経営努力を重ねてまいりたいと考えます。

3)新たな医療提供体制について
 国は「新たな地域医療構想」の中で、2040年を見据えた医療政策の展開として、医療・介護の複合ニーズを抱える85歳以上人口の増大等に対応できるよう、在宅医療、医療・介護連携等を含め、地域の医療提供体制全体の地域医療構想として検討するとしています。天草市においても、特に市立病院の立地する地域においては人口減少・過疎化や超高齢化が進行し、公共交通手段の利便性の低さや独居高齢者の増加などにより通院も適わない方が増えつつあります。従いまして、従来の訪問診療に加えて、オンライン診療を構築すべく準備中です。オンライン診療とは、厚生労働省が策定した「オンライン診療その他の遠隔医療の推進に向けた基本方針」の中で、現場での看護師の立ち合いのもと、医師と患者間において情報通信機器を通して患者の診察を行い、診断結果の伝達や処方等の診療をリアルタイムで行う行為とされています。医師は病院に滞在できるため、医師の負担軽減ならびに医師不足対策としての効果も企図しています。これらを進めるには院内のDX(デジタルトランスフォーメーション)が必要となりますので、新しい体制構築を進めているところです。
 河浦病院の医療圏である河浦・天草地域は山間部が多く集落も点在しており、高齢化率も50%を超えております。まず河浦病院においてこのオンライン診療を今年度内か来年度早々にも開始し、他地域に先行して「出かける医療」の充実を図りたいと考えています。

4)今後の天草市立病院のあり方について
 新型コロナ対応の4年間に入院患者数が31%減少したと前述しましたが、その基盤には病院の立地する地域の人口減少もあると考えています。同期間に当該地域の人口は11%減少しました。2023年以前の過去10年間では25%の人口減少が認められています。このような現状の中で今後10年間の医療提供体制を考える必要があります。各市立病院の病床数の再評価、また各病床機能の再評価は絶対的に必要になってきます。それも頻回の軌道修正が必要となるでしょう。
 来年度は各病院ともに病床再編を2021年4月に続いて再び実施し、新しい地域医療構想の中で地域に密着した医療提供体制を構築していくことにしています。

今後とも、天草市立4病院、御所浦診療所・北診療所へのご理解とご支援をいただければ幸いに存じます。

 

天草市病院事業管理者
竹中 賢治
(2025年1月16日記、 阪神・淡路大震災30年直前にして)