【馬場市長】
天草産品のブランド化については、生産者の方々や流通業者を対象に勉強会を開いたり、商品の見せ方として「デザイン」が重要ですので、「デザイン塾」というものも行っています。デザインは売り方にも影響しますので、デザインの仕事もこの天草の中でできるよう、産業起しにも努力をしているところです。
千葉県流山市の子育て支援策については、私も素晴らしいと思って注目をしているところです。人口が増えている市に共通していることは、“子育てへの支援が充実している”ということですね。
また、人口が増えている理由の一つとして、都市部に近いということがあります。しかし、天草の場合は「距離のハンディキャップ」や、学校が高校までしかないので大学進学に費用がかかるなどの問題もあります。これらを、“どうしたら負担が減るのか、生まれてきてから子育てが終わるまで、どういう子育ての支援策があればこの天草で幸せに子育てができるのか”など、今整理をしているところです。
現在、子育て支援の分野でも意見交換会を行っており、いただいたご意見を踏まえ、更なる政策を検討していきます。
(まちづくり協議会 Eさん)
保育園児を持つお母さんから「雨の日に児童館に行くと小学生が占拠していて、保育園児や幼稚園児は使えない。」とのお話があった。雨の日は、子どもを抱えている家庭は行く場所がない。児童館の使い方も含め、子育てがしやすいまちづくりが必要だと思う。
【馬場市長】
おっしゃるように、未就学児と小学生が遊ぶ場所を分けて欲しいという意見が出ています。公園についてもそうですが、子どもたちが思いっきり遊べる場所造りを検討していかなければと思っています。
ただこれも、地域住民の皆さんのご理解が必要ですので、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
(まちづくり協議会委員 Fさん)
学校の先生たちが非常に大変。朝早くから夜遅くまで頑張っていらっしゃる。もう少し先生たちの働き方を考えて頂きたい。
また、今は子どもたちに持たせてあるタブレットに明日やることなどを全部入れてしまえば、宿題や予習ができ、先生の業務も軽減できるのではないか。タブレット1つ持ってくればオンライン化などで全てが賄えると思う。
あと、土日・放課後など運動場で遊ぶ子どもが今は居ない。地域での行事も集まりが悪く、遊び方や行事を知らないので参加しない。保護者も「自分が知らないからさせない」といった具合なので、私の地区では小学校で伝承遊びを教え、その様子をポスターにして地域に知らせている。
【馬場市長】
先生の働き方についてはおっしゃる通りで、先生のなり手が減っているのはそういうものも原因なのかなと思います。先生たちの問題は、先生たちだけではなく、私たち親も考えなければならないと思います。教育委員会でも、先生たちの業務負担を減らす努力をしているところです。
遊び方や地域の行事については、できれば、まちづくり協議会や地区振興会の皆さん方と子どもたちが一緒になって、昔の遊びや遊び方を教えていくということもできるのかなと思います。体験学習は先生と子どもたちだけではなく、地域と子どもたちの体験学習に親も一緒に参加するという取り組みも考えていかなくてはと思っています。
(まちづくり協議会委員 Iさん)
「青年団」などといった若い人たちの組織が無くなってきているので、そういう組織に変わるような団体を若い人たち自身で作ってはどうだろうかと思う。
また、市の計画では、志柿地区の児童館は今年度で閉鎖となるが、移転はできないのか教えて欲しい。
もう一つ、マイナポイントをもらう手続きの時に、市の職員に手伝ってもらい無事に受け取った。職員のスキルアップを市長がどのように考えておられるのかお聞きしたい。いろいろな資格を取った職員には手当を上げるなどしていただくと、職員ももっとがんばるのではないかと思う。
【馬場市長】
若い人たちの団体ということですが、大学生のアカペラコンサートを開催する団体などもあり、他でも自主的に活動している若者たちがいますが、好きな人たちがやっていかないと続きませんので、そういう若手を育て、応援していく取り組みをしてきたいと思っています。
児童館の件ですが、また新たに児童館を設置するとなると、設置要件的にさまざまな機能が必要で規模が大きくなってしまいますので、例えば、コミュニティセンターの中に、雨の日でも子どもたちが遊べるような場所をひと区画作ることができないかなど、現在検討しているところです。
市職員の人材育成ですが、現在も各種のセミナーやスクールに派遣をしています。「人材育成」というものは、お金を遣ってでもやるべきだと私も思っていますので、できる限り育成をしていきたいと思います。
(まちづくり協議会委員 Gさん)
人材育成とは何か?最終的には、人材育成は本人が気付くことであって、それを誰が気付かせるのかということだと思う。
地区振興会を1年間させて頂いた中で、人材育成は振興会の行事の中にあると感じた。普段足元にあることをやっていれば、さほど特別なことはしなくてもいいのではないかと思っている。
拓心高校のSBPに私も付いて行ったが、「人はこんなに変わるものなんだ」と実感した。褒めてあげたり、バックアップ体制を作ってあげると、人は物凄く能力を発揮すると思っているので、行事を遂行することで人材は育っていくのかなと思う。
【馬場市長】
私が一番危惧していることは、コロナで3年間何もできなかったことで、地域の行事などを“やりたくない”となってきていることです。行事など、やれば「やってよかった」と必ずなりますので、その第一歩を皆さんで歩んでいただきたいと思っています。人の幸せとは、人とコミュニケーションを取っていくことではないかと思っています。そのような中で、“やってみて良かった”といった達成感が次の行動に繋がると思います。
(まちづくり協議会委員 Pさん)
まちづくり人材育成の取り組みに対する課題や注意点についてお聞きしたい。市長は就任前、会社の社長をされながらまちづくり会社等も設立されていたそうなので、そういう体験をお聞きしたい。
【馬場市長】
私は31歳で天草に帰ってきて自分の家の会社で仕事を始めましたが、そのときすでに会社は倒産寸前で、そこから40歳くらいまでは必死に仕事をしていました。とても“まちづくり”など考える余裕はありませんでした。
しばらくして仕事が落ち着いてきたので、自分もまちづくりの方へ動くことができるようになりました。
自分の中で、心と時間的な余裕が出てきたというところが、動くきっかけになったと思います。余裕がないのに「まちづくりをやってくださいよ」と言っても難しいと思います。しかし、このままでは天草の産業がどんどん廃れていく、会社として利益はあるのに後継者がいないので辞めざるを得ない、などといった問題が、天草だけなく地方の問題として広がっています。
「それをどうするか?」ということで、天草の地域の課題をビジネスチャンスとしてとらえ、熊本大学の協力を得て「未来創造スクール」という取り組みを始めました。受講者のほぼ9割の人が新しい仕事を始めました。本業もやりながら、新しい仕事もされています。
地域の課題を真剣に見た時に、“これは自分たちが頑張らないと、この街はダメになるんじゃないか”“地域を盛り上げなくてはいけない。そうしないとビジネスも成り立たない”といった意識が出てきたことが、この勉強を通して生まれてきたのではないかと思います。若い時に最初から余裕のある人はいないと思います。一人でやることは無理ですので、仲間をどんどんつくり、繋いでいくことが、最終的にはまちづくり、人づくりになるのかなと思います。
(まちづくり協議会委員 Fさん)
広報紙(5月号)で職員の部課長を紹介してあったが、そのうち女性は6名だった。やはり男女共同の社会なので、もう少し女性の登用をお願いしたい。
自分たちが若い頃は、農協や漁協の青年部があったが、今はその青年部も無くなってしまった。
地域を興すのは“よそ者”“馬鹿者”“若者”という、3つの「者」と言われており、昔から住んでいる私には分からないので、地域の良いところを、よそ者を集めて掘り起こしたり、その人たちを中核として何かできないかと考えているところ。
市はなぜ“宝島”というのか。視点づくりとして“これが天草の宝!”というものを見つけ出して頂きたい。
【馬場市長】
女性の登用については、どんどん進めていきたいと思っています。
また、天草の宝と思えるものは沢山あります。その中でも「天草らしい」と言われるような、一つで表現できるようなものを作っていく必要があるのかなと思っています。そういう意味では、天草は「のさりの島」と言われるように、「天草のさり」という言葉が天草の代名詞だと思っていますし、しっかりデザインしていきたいと思います。
(まちづくり協議会委員 Cさん)
天草の宝はたくさんある。人情、気候、食べ物、安心。近所づきあいもいい。また、医療・福祉・介護が非常に充実しており、おそらく九州の中でも天草が一番ではないかと思っている。
裏を返せば、天草を「お年寄りのまち」にすればいいのではないかと思っている。東京などでは、一回有料施設に入るには何千万円もかかるし、毎月20~30万円かかる。そのような施設を天草に造って、千人~2千人呼び込むことができたら、人口はすぐに1万人は増えると思う。
【馬場市長】
今のご意見も、一つのアイデアとして受け止めさせて頂きます。医療・福祉、特に福祉に関しては、天草は非常に充実しています。社会福祉協議会も含め、手厚くやっています。
実は今年度から、本渡看護専門学校と東京藝術大学が連携し、大学の講義を看護学校で受けることができるようにします。「アート×福祉」をテーマに、芸術と福祉を掛け合わせた学びを実施していこうと思います。(東京藝術大学が実施している「DOOR」プロジェクトに参加させていただくもの)行く行くは看護学生だけでなく、民間の病院や福祉施設などの職員さんにも受講して頂き、それを職場で展開していくことができれば、間違いなく“天草に住みたい”と思う人たちが増えると思います。何より、「地元の人たちが“本当に幸せであり続けられる島”を目指していく」という目的のために、これからスタートする事業です。
今、医師・看護師といった医療従事者を集めることに苦労しています。こういった学校をつくることで、学生を呼び込んで、天草の医療を充実させることに繋がるよう取り組んでいきたいと思っています。
【馬場市長】
本日はありがとうございました。皆さまから頂きましたご意見を、しっかり政策に落とし込んでいきたいと思っています。そして、私たちがこれから取り組んでいこうとしている事など、少しはご理解いただけたのではないかと思っています。今後もこのように、一人でも多くの人に、市の取り組みについて伝えていけたらと思っています。これからも、皆さん、元気にまちづくりに取り組んでいただければと思います。ありがとうございました。