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市民と市長の意見交換会 ~林業第6次産業化編~

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市民と市長の意見交換会 ~林業第6次産業化編~

令和5年7月3日(月曜日)「市民と市長の意見交換会~林業第6次産業化編~」を開催ました。

 この会は、市民の皆さんのご意見を市長が直接うかがい、天草の今と未来を考え、皆さんとともにより良いまちづくりを推進していくための意見交換会です。 ※内容の一部を抜粋して掲載します。

 

出席者:林業関係者12名(A~L)の皆さん

林業


1 市長より説明

・天草における林業の6次産業化の推進について

 

2 意見交換

【農林整備課長】

 天草の林業において、天草の特色や課題など、それぞれにお気づきの点があればお願いします。


(林業関係者 Aさん)

これまで、なかなか林業の6次産業化には至っていなかった。市長の事業説明で、まずは、現状把握からスタートするとのことなので、そのように進めて頂ければと思う。

また、自分も子どもの頃は、親が木を切って生活していた。6次産業を考えた場合、出口をどうするかが大事だと思う。あと、ふるさとを愛する心を子どもたちに持ってもらいたい。天草の物が良いのだと伝えていきたい。


(林業関係者 Eさん)

天草には広葉樹の山が多いが、実際に伐採して搬出できる山は少ない。Googleアースや地図アプリなどを使い山林を探し、実際に山に入ると伐採できなかったり搬出できなかったりすることがある。また、伐採する山の所有者には許可が取れても、隣接する山の地主の承諾がないと搬出できないことが多く、そういうときが困る。


(林業関係者 Bさん)

自分は今のところ、場所を確認してからやるので、そういったことはないが、良い木があれば、手前の土地から相談に行っている。所有者が住んでいない場合は、近くの親戚にお願いしたりして、商談をまとめてもらったりしている。


(林業関係者 Gさん)

父の代で坑木(炭鉱を掘ったとき、中の突っ張りとして用いられた材木)の生産をしていた。昔は搬出できる道があったが、今はない。今は林道から作業道を入れて出すという形だが、天草は周りが岩山で作業道を入れることが困難な山が多い。そうなると、入らないところは木を切っても切り捨てなければならず、切り捨てると木材の価値がなくなる。その辺を、今後どうすればいいかと思っている。小国町には「木の駅」という、買い取ってくれるところがあるらしいが、そうところが天草にもできればいいなと思う。


(林業関係者 Bさん)

ヒノキ・杉を加工し、天草外に製品化したものを売ろうということだが、月ごとに相場が下がってきている状態である。今は底どまりで単価は動いていないが、それ以上に、売れなくなってきているのが現状。市場や流れを十分に調べてから進めていただきたい。製品を作るのは簡単だが、それを現金化することはとても大変なこと。市場調査を優先にお願いしたい。


(林業関係者 Kさん)

シイタケは広い原野が必要になる。消費者が購入しているほとんどの商品が、菌床栽培によるもの。菌床栽培が9割を占めるなか、どうやって原木栽培を良くするか。生シイタケ生産は非常に難しい。今の生産量を増やすためにも、夏場に生シイタケを多く原木栽培で生産したい。また、有識者による指導体制の支援など、教えることもやっていただきたい。精通した人からの指導助言が欲しいところ。


(林業関係者 Jさん)

椿は切り戻す方法で、元気を取り戻したほうがいいかなと思っている。自然の中でどうやって対処して木を育てていくか、林業の皆さんと共通するものがあると感じる。椿油は除草剤や化学肥料は使っていない。良いオイルだといえる。あと、椿油だけでなく、天草産の材料で石鹸を阿蘇で作ってもらっている。椿は収穫に手間がかかるが、良い製品なので、もっと付加価値をつけていければと思う。また、この天草の椿を、牛深から苓北までの西海岸沿いでの観光振興につなげられたらと思う。


(林業関係者 Cさん)

大工さんや工務店の方たちは、“天草の木材は熊本から買うより高い”というイメージを持っている。熊本は天草とは違い、切り出しもしやすく、いろいろなところからから集まってくるので、木の単価も安く市場に出せるのかなと思う。天草は、木の切り出しなどにもお金がかかるので高くなっているのかなと。天草の木で天草の工務店を使って天草に家を建てれば、市から補助金が出ることが凄く助かっている。天草の土地で50年かけて、身が締まった木は天草の風土に合っているので、それを使って家を建てることはよいことだと思う。地産地消、地産地建で天草の材料を使い、家を建てることや建具・家具も含め、天草ヒノキプロジェクトで推進している。今後、森林の調査をしていく中で、天草の木材の需要と供給のバランスがうまく取れるよう、何か対策ができればと思う。天草の所得を考えると豪華な家は難しいかもしれないが、お客さんの要望にあった予算で組み立て(見積り)なければならない中で、物価の高騰もあり、人件費のアップもなかなかできない状態である。天草市建友会は、地元で育ててもらった工務店の集まりなので、地元で頑張っていこうとみんなで頑張っている。天草の材料を使って、天草の人のために、お互いが共存・共栄していければというのが工務店の課題でもある。


【経済部長】

オール天草産材で家を建てたときと、外からの外材で作った場合とでは、費用はどれくらい高くなるのでしょうか?


(林業関係者 Fさん)

天草はヒノキが多いので、土台、床板には天草産材を使うが、柱になると素性の良いもの(真っすぐ)でないといけないので、天草の材は難しい。天草の材は、風が当たるので曲がっているものが多い。素性の良いものは、大きな山の中で風が当たらないところのものが使われる。そういう、部分別の材を考えたとき、「オール天草産でできるか?」となると難しい。相当の材を買ってきて、その中から使える材を見出さなくてはならない。そういう意味でも天草産材のものは割高になるのだと思う。もしかしたら、2割ほど高くなるかもしれない。一概には言えないが。


(林業関係者 Cさん)

ハウスメーカーさんは、基本的には輸入材を使われる。国産材を使うところは、大手では少ないと思う。熊本市内のある建築業者さんは、自分で山を持ちプレカットの工場も持っていて、県内の材料を使うようにしている。実際天草でも、自分の山の木を使って家を建てたいという人もいる。しかし、“じゃあ、天草産材を使って家を建てよう”としたときに、山奥すぎて木を切り出せない場合もある。切り出せたとしても、使える木もあれば使えない木もある。なので、住宅1軒分の木だけあれば良いという訳ではなく、2~3軒分の木を切り出して選別しなくてはいけない。また、集成材にしようと思っても、輸入材のほうが強度が出るので、なかなか日本の材料では強度が上がらない。輸入材を使わず、国産材を使うよう国の政策がなっていけば、木材単価も上がってくるのかなとは思うが…。


【経済部長】

身近にある資源を地元で使おうと思っても難しいものがあるのですね。最終目標としては、地産地消・地産地建で、天草の木材を天草の中で、どういうふうに使っていくかが課題ですので、木を切り出すための作業道をどうするかなど、いろいろと課題はありますが、1つ1つを解決しながら、できるだけ天草の中で天草産材を使ってもらい、需要を拡大していければと思っています。


(林業関係者 Gさん)

天草の材は、目が詰まって強度も良い材料だと思う。八代の人で「天草の松の木で家を建てた。目が詰まっていてとても良い。」と言われた。天草産材は、強度があって良いのは分かっている。小国杉など、試験結果データがネットで流れている。材を試験機にかけているところを写真に撮って、ネットに試験結果を載せてある。南郷檜は丸材のデータを載せてある。天草産材もそういうところまで発信していただければ、皆さんにもっと知ってもらえるのではと思う。


(林業関係者 Lさん)

天草産材で作るとしても、適材適所で、使える部分は使えるような加工をして使っていければと思う。自分は市役所新庁舎建設の家具と建具をさせてもらったが、天草地域森林組合と協議をし、建具としては“曲がっていないものを”ということで、曲がりのない材を選定し、納品した。そうなってくると、大量の材料の中から選ぶので金額も上がってくる。逆に良いところは、「建具が反ってきたので調整してほしい。」とまだ言われたことがない。少ないが良い材料であると思う。民間工事での箱物であれば、設計の人に材料を言われたとき「せっかくなら、天草産材のヒノキや杉の木を使いませんか。」とこちらから提案することもある。“金額が変わらなければ”という前提はあるが、ほとんどで「それなら」と発注してもらえる。天草産材が良い印象を持ってもらえるようPRして、付加価値をつけていければと思う。


(林業関係者 Hさん)

天草産材を使いたいと思うが、反ったりするので建具の障子にはまず使えない。なかには良い木材もあるが、そういうものは製材の過程で取っておいたりするので建具材の流通が進まない。冒頭の市長の話の中で、広葉樹の利活用についても検討すると説明されたが、広葉樹が流通してくるならば非常に興味がある。


【経済部長】

天草の広葉樹にある、樫の木や椎の木でも家具は作れますか?


(林業関係者 Hさん)

作れると思う。ある程度の曲がり材でなければ。加工の段階で、一般的な材のように“何cmから何cm”で真っすぐなものがあれば、そこからは加工できると思う。


(林業関係者 Bさん)

 広葉樹で家具を作ろうとプロジェクトを立ち上げたとき、広葉樹(椎の木・楠の木など)を切られる皆さんに案内して、2m10cmくらいの長さで切り出してもらえないかと、材料を集めたことがある。材を倒す時期があるので、短い時期にたくさんの材を集めることは難しい。天草の広葉樹の中には、大きな木といえば、どういう木があるのか、教えてほしい。


(林業関係者 Eさん)

海沿いは樫の木が多い。海沿いの山は岩が多く、樫の木が育つのに適しているのではと思う。樫の木は比重が大きいので、チップ材にしても良いが、薪の需要も多い。また、天草の山全体としては、楠の木や椎の木が多い。大きな楠の木があったときは、福岡の大川市の家具屋に出していた。これからは、地元でも家具材用の楠の木として需要があれば、協力させていただきたいと思う。


(林業関係者 Aさん)

どこにどんなものがあるかのデータがない。材がどこに何が眠っているのかが分からない。“あそこには、何年物の何がある”といった感じで、全体としてデータ化をするなどしないといけないのかなと思う。また、先ほども言ったが「木育」が大事。子どもの頃から山に親しませて、大人になって天草を出ていっても、育った天草に帰ってくるようにしないと人口流出のまま。“ふるさと大事学級”といった、そういうところは行政の重要課題として捉えていただきたい。


【馬場市長】

木育については、天草を体験学習の島にしようとしているところで、天草町の小学校と中学校をモデル校として、いろいろなことを体験していただいているところです。今年度中に成果を発表し、横展開を図ろうと思っています。子どもたちに、自然の中での体験をさせる(山に入っていかせるなど)ことや、木材で遊具を作っていくことも考えています。また、子どもたちが雨の日でも遊べるような、室内での遊び場が必要との要望もあっていますので、木で作ったおもちゃなども検討しています。


(林業関係者 Cさん)

 天草ヒノキプロジェクトでは、「天草の木使い 住宅完成見学会」や、飲食店事業者と連携した「天草の木づかいフェア」、市内中高生の植林体験、ヒノキのサンタづくりワークショップなどを開催してきた。各方面の補助金の活用や、地域の事業者からの苗木提供などをいただき、天草木材のPR活動をしている。市でも、子どもたちの木育に取り組まれるのであれば協力していきたい。


(林業関係者 Dさん)

林業の6次産業化ということで、これから主伐が始まると想定されるが、主伐をすると再造林ということで、沢山の苗木が必要になってくる(植林が必要となってくる)と思う。先ほどの話で「天草材は曲がっている」という話だったが、天草杉にも種類があり、「根浅杉」というのは、50年は根元が曲がっているがあと50年で真っすぐになる木。大きくなると真っすぐになる「大系木」になると、綺麗な木目になって良いと聞く。そういうことも頭に入れながら、今後苗木がたくさん必要になると思うので、生産量の拡大など、生産施設の補助をお願いしたい。


(林業関係者 Bさん)

政府も「花粉が出ない杉を植えろ」というが、花粉が出ない杉の苗木があれば教えてほしい。


(林業関係者 Dさん)

九州の苗木は、基本、挿し木で作っているので、割と花粉は付きにくいらしいが、その中でも選抜された杉を使って、少花粉杉というものの苗木を買って作っている。


(林業関係者 Bさん)

この会に出席でき、知らなかったことを知ることができ良かった。6次産業と言ってもいろいろとあると思うが、天草ヒノキプロジェクトでも異業種の方々で新たな価値に出会えることがある。今日、このように繋がれたことで、異業種で連携した6次産業化ができると思う。そうすると、副産物がある。“つながる”ということの価値「関係資本」が地域を強くしていく。2015年、SDGsが策定された頃から、「バックキャスティング」という手法を取り入れる企業が多くなった。たどり着きたい未来への道筋を描き、着地点から考えていく。違う業種や利害が必ずしも一致しない業者どうしでも、共感できる未来像が描けたら、みんなで取り組みやすいと思う。


【馬場市長】

さまざまなことを聞くことができ、いろいろなことを知ることができました。この天草ほど、可能性のある場所はないと思っています。今回は森林に関することでしたが、他にも農業や水産業、観光など、全てが連動していくものだと思っています。私たち行政に課せられた使命は、「この天草の価値をどうやって高めていくか。そして、その価値を高めていくための仕組みを、いかに作っていくか。」だと思っています。価値が高まれば、天草はもっと豊かな場所になると思っていますので、なりたい姿(理想の姿)をしっかり示していきながら、一生懸命頑張っていきたいと思います。

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