
3月7日、五和町二江に三重大学の学生が訪れ、イルカの音に関する研究のため、海上で調査を行いました。
今回訪れたのは、三重大学3年生の松﨑秋星(まつざきしゅうせい)さん。松﨑さんは昨年の9月から鯨類学や生物音響学などを専門とする同大学の森阪匡通教授のもとイルカについて学び始め、今年2月に入ってからはイルカが発する音についての研究も開始。自身が天草市出身ということもあり、「地元に貢献できるような研究がしたい」という思いが研究を始めるきっかけになったとのことです。
調査当日、松﨑さんはイルカの音を記録するため、市役所市民環境課の職員と共に天草市イルカセンターから乗船。風が強く、船上では立つこともままならないほどの荒波でしたが、松﨑さんは落ち着いたようすで研究機材をセッティングしていました。15分ほど進むと小亀岩灯標付近にイルカの群れを発見。イルカの音を拾うため、マイクを海中に沈め、専用の機械で音を拡大して録音する作業を行いました。マイクには「ホイッスル」と呼ばれる口笛のような音が多く収集され、「集団を形成するために出しているのではないか」と松﨑さんは推測。録音した音のほかに、時刻や位置、深度なども記録し、大学に持ち帰って分析をしていくとのことです。
現在、森阪教授が20年前に天草で収録したイルカの音との比較研究を進めているという松﨑さん。今後の展望については、「同じ地域で20年後も同じような特徴をもつホイッスルを発しているのか、または水中環境や生物量の変化によってホイッスルも変化していくのか、長期的なホイッスルの比較をしたい」と話していました。
最後に、「五和町に住んでいる皆さんやいろんな人たちの協力があるからこそ、今この五和町にイルカが定住していて、自分たちも研究ができているのだと思う。今後も研究を続けていき、地域の皆さんに還元できるようにしていきたい」と熱意を語りました。