正覚寺は、寛永14(1637)年に起こった島原・天草一揆後、代官鈴木重成が中華珪法を迎えて正保3(1646)年に創立された曹洞宗の寺院です。
寺がある上津浦地区は、天草五人衆の1人である上津浦氏の本拠地で、すぐ近くには上津浦城跡があります。天正18(1590)年、上津浦氏は小西行長の進言でキリスト教に改宗しました。今でも、正覚寺の場所にキリシタンの布教活動の拠点となった「南蛮寺(教会)」があったと伝えられています。
墓碑は昭和60年の本堂解体作業中に発見され、そのうち1基の端部にはIHS(イエズス会の紋章に記された文字)・干十字のほか、慶長11(1606)年の年号や「大つるきんた」(人名)という文字が刻まれています。
天草には1,000基以上のキリシタン墓碑があったと言われますが、年代と碑銘が明らかなものはこの1基のみで、熊本県のキリシタン史における貴重な資料として、ほか3基と共に県の指定を受けています。
■指定区分:県指定
■指定種別:建造物
■指定日:平成5年9月17日
■地域:有明
■所在地:有明町上津浦 正覚寺内
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