天正17(1589)年、天草下島を治めていた天草氏は、新たに肥後の領主となった小西行長に従わなかったため、加藤清正と小西行長により攻められました。天草氏の拠点、本渡城がまさに落城しようとしていたその時、一隊の騎馬武者が縦横無尽に敵を蹴散らしました。しかし、勇猛な隊長の兜がこの梅の枝に引っかかり、兜が脱げてしまいました。その正体は黒髪の美しい女性だったため、これを見て敵軍は元気づき、ついに女性は敵の手に落ちてしまいました。
この女性こそ、仏木坂において加藤清正との一騎打ちに敗れた木山弾正の妻お京の方で、城中の女達で編成した一隊を引き連れて戦いを挑んだとのことです。そして、お京の方は最期に「これから永久に、この梅には実をつけさせない!」と怨みの一言を残したと伝えられています。
このような伝承がある兜梅は市内延慶寺の境内(裏庭)にあり、樹高3m、枝張りは東西約11m、南北約6m、別名「臥竜梅」と呼ばれる天然記念物となっています。
■指定区分:県指定
■指定種別:天然記念物
■指定日:昭和57年8月28日
■地域:本渡
■所在地:浜崎町 延慶寺境内