鞍(くら)は通常、馬の背に乗せる馬具として使用されますが、この鞍は全体に青貝で螺鈿(らでん)細工をほどこしてあるため、装飾性にも優れた品です。
鞍の前輪(まえわ)の前面には、並鷹羽紋(ならびたかはもん)を螺鈿で表し、後輪(しずわ)の後面に螺鈿で家紋を表しています。大きさは高さ約27cm、幅約40cmです。
伝承によると、天正17(1589)年に起こった加藤清正・小西行長との連合軍と、天草の国人が戦う「天正の天草合戦」に敗退した志岐麟泉(しきりんせん)が、大多尾(新和町)まで道案内をしてくれた尾上家の祖先に、お礼としてゆずり渡した鞍と言われています。
この鞍は、天草市立天草キリシタン館で見ることができます。
■指定区分:市指定
■指定種別:工芸品
■指定日:平成11年1月29日
■地域:本渡
■所在地:船之尾町19ー52 天草市立天草キリシタン館