島原・天草一揆の状況を詳しく記した軍記物語で、7冊からなっています。
旧福連木村の庄屋尾上家に伝わっていたもので、作者は上島の神官であるという説があります。年代も確かなことは不明ですが、ほとんど同じ内容の「四郎記」という史料が熊本大学附属図書館にあり、「文化2(1805)年之を写す」と書かれており、また、上田宜珍が「天草島鏡」の中の「天草風土考(享和2(1802)年脱稿)」の中で、四郎記から引用していることを考えると、この物語の原本がすでに享和2(1802)年以前にできていたことが推定されます。
この四郎乱物語も写本であると思われますが、四郎の活動のようすはもちろん、一揆の経過とその間に現れる幕府方、宗徒側の人物の動きやエピソードを記し、第4・5巻には番代三宅藤兵衛の奮戦と最後のようすを記してあります。
一揆を題材にした軍記物は、島原半島でも数点書かれているが、この本は特に天草で書かれたということで、その信憑性も高く貴重なものです。
■指定区分:市指定
■指定種別:古文書
■指定日:昭和52年10月1日
■地域:本渡
■所在地:船之尾町19-52 天草キリシタン館