烏帽子坑(えぼしこう)は、明治30年に天草炭業株式会社が採炭のため下須(げす)島西岸の海を隔た「烏帽子瀬(えぼしせ)」に構築された海底炭鉱跡です。
牛深を中心とした天草南部炭田は、一般的に「キラ炭」と呼ばれる無煙炭で、カロリーが高く、揮発性の強い優秀な石炭で、軍艦の燃料となりました。このため、当時の海軍省などの天草炭田への期待は大きいものがあり、海底掘進という危険性があっても、露頭する炭層の採炭に着手し出炭しました。しかし、湧水などに悩まされ、数年で創業を中止したとされています。
それ以降約110年の間、何十回もの台風が来襲し大波を受けたにも関わらず、赤土と松ヤニを混ぜて接着したとされるアーチ型の赤レンガの坑口は、現代にもその姿を留めている珍しい海底炭鉱跡です。
烏帽子坑の奥、西海岸に沈む風景は「日本の夕陽百選」にも選ばれています。
※海上にあるため、接近できません。
※上陸は保護のため、かたく禁止しています。
■指定区分:市指定
■指定種別:史跡
■指定日:平成4年12月2日
■地域:牛深
■所在地:牛深町字西田代また