﨑津地区は、天草下島の南西部、羊角湾の入江に位置し、中世には外国船が出入りする港として、近世から近代にかけては貿易や石炭搬出など流通・往来の拠点として形成されてきた港湾集落です。現在は、﨑津は豊かな漁業資源を誇る漁村集落として機能しています。
﨑津集落は地形的に平坦地が少ないため、各家の地割りが狭くなり、家屋が密集しています。家屋と家屋の間には「トウヤ」と呼ばれる幅1m程度の細い道が設けられ、海へ向かって延びています。海上には、竹やシュロを利用した「カケ」が設置され、漁船の碇泊や魚干しなど漁師たちの作業場として利用されています。昭和30年代には30m×50mほどの大型カケが組まれ、チリメン干場として使用されていました。
古くからの流通・往来の拠点として発展し、漁業を生業としてきた﨑津の独特の景観が高く評価され、平成23年2月7日に「天草市﨑津の漁村景観」として天草市で初めて国の重要文化的景観に選定されました。また、平成24年9月19日には今富地区も追加選定されました。
■指定区分:国選定
■指定種別:重要文化的景観
■指定日:平成24年9月19日
■地域:河浦
■所在地:天草市河浦町﨑津・今富